私がこの検索フレーズから連想できるのは、μITRON 4.0仕様の静的APIと、それを解析してC言語のソースを生成するコンフィギュレータだけです。以下もそのつもりで書くことにします。一応、仕事でコンフィギュレータに関わっているだけに、μITRONの単なるユーザーよりは詳しいつもりです。
まずはμITRONの静的APIがどんなものかを簡単にご紹介します。
よくあるOSでは、タスクやセマフォといったオブジェクトを生成するには、実行時に生成のための関数を呼び出します。しかし、μITRON 4.0仕様では、コンフィギュレーション・ファイルというC言語とは別の記法で書かれたソースファイルに、静的APIと呼ばれる命令を列記することで、静的に(コンパイル時に)各オブジェクトを生成することができます。
「静的に」といっても、実際には起動時にある程度処理しないといけない部分もあるのですが、少なくとも生成すべきオブジェクトの種類と数量と属性は静的に決定されるわけです。
そして静的APIを列記したコンフィギュレーション・ファイルを入力として受け取り、C言語のソースファイル(kernel_id.hとkernel_cfg.c)を出力するのがコンフィギュレータです。
実際には、現存するμITRON 4.0仕様の製品の多くはコンフィギュレータを持たないか、静的APIとは別の仕様(例えばGUIによる設定など)を採用していることも多いようですが、μITRON 4.0仕様の標準的な方法は静的APIということになります。具体的な静的APIの仕様については、トロン協会から公開されている
仕様書に詳しく書かれていますので、そちらを参照してください。
ところで、コンフィギュレータを実装してみると、静的APIの仕様にもいろいろよく分からない点があります。
例えば、自動割付け対応整数値パラメータは、「整数値(負の数を含む)」を指定できなければならないのですが、これはいわゆる整数リテラルの意味なのか汎整数定数式の意味なのかよくわかりません。
整数リテラルだとすると(-は演算子なので)負の数を表現できませんし、汎整数定数式だとすると相当複雑な式も書けてしまい、しかも値を特定することができなくなります。しかし、コンフィギュレータはパラメータの値を知る必要があるのです。
数ヶ月前、この件について高田先生ともいろいろ議論したのですが、μITRONはバージョン4.0になってカーネルの完成度はかなり高くなったが、静的APIは4.0から登場したのでまだまだ完成度が低いとのことでした(飲みながらだったので、記憶は曖昧ですが...)。確かに静的APIに関しては、いかようにも解釈できる
あそび がかなり残っているようです。